噛む子を育む離乳食:授乳期について

抱っこされて寝ている赤ちゃんの写真

桜の季節から新緑のまばゆい季節になりました。お子さんのいるご家庭は入園入学、新学期など迎え、慌ただしい毎日を送っていらっしゃることでしょう。

言葉が巧でない月齢のお子さんはこの時期、緊張した毎日の疲れや、辛さの表現が難しいようです。朝ぐずる、目覚めがスムーズにいかない、帰宅後に表情が暗く笑顔が少ないなど色々なサインが出るようです。

お子さんの帰宅後、忙しい手を休めお子様に「頑張ってきたね。楽しかった?」聞いてあげてください。この時お顔の表情を見てぎゅっと手を握ったり膝に抱いたりスキンシップを大事にしてあげてください。大好きなお母さんの肌からの温もりはどんな言葉よりもお子様に伝わる事でしょう。

今振り返ると、家事の片手間に話を聞き、子どもたちの心と向き合って聞いていなかったように思います。今になってこのことの大切さを感じている次第です。

hahahaサロンさくらんぼ🍒の今年のブログのテーマは【噛む子を育む離乳食】です。昨年の【噛む子を育むおやつ】の土台のところをお伝えしていきます。

今月は授乳期についてお届けします。

<授乳期> 母乳・ミルク

「噛む」は、「飲む」ことから始まると言われています。

授乳期の舌の運動やそれに伴う咬筋・側頭筋の動きは、次の離乳食の「噛む」につながっていきます。

命をつなぐための本能として哺乳には噛む子を育む上で、いくつかのポイントがあります。

ポイント

  • 赤ちゃんの舌の動き
  • 咬筋と側頭筋の動き
  • 授乳期の保護者と赤ちゃんの姿勢
  • 乳首のくわえさせ方
  • 授乳期終了のタイミング

意外と授乳がうまくいかず悩んでいらっしゃる事が多いようです。その場合、上のポイントのどこかが上手くいっていないのではないでしょうか?

授乳は、お母さんと赤ちゃんの共同作業です。授乳姿勢を整え唇で大きくお母さんの乳輪を大きく深く加え哺乳する時の舌の動き(舌の蠕動様運動)で哺乳する事が大切です。

ポイント①、③④のすべてがうまく整うことで舌の蠕動様運動がしやすくなり咬筋・側頭筋の動きが発達して、噛むために必要な筋肉なので、うまく母乳が飲めることは噛むが子が育まれていきます。

ミルクを飲んでいる時、母乳を飲んでいる時にこの咬筋と側頭筋がしっかり動いていることが大切です。この時期、咬筋と側頭筋がしっかり動く正しいミルクの飲み方や母乳の飲み方を獲得することは離乳期になって咀嚼や嚥下が上手くいくことにつながります。

噛む子を育てるために3つの姿勢が大切

  1. 授乳姿勢
  2. 抱っこの姿勢
  3. 寝かせる姿勢

妊娠中のお母さんの姿勢も大事です。

赤ちゃんは、お腹の中で指しゃぶりやハイハイなど生まれてから必要な様々な動きを練習してくるとの事です。お母さんの姿勢が悪く脊椎のカーブが少ない妊婦さんのお腹で育った赤ちゃんは、お腹の中で生まれてから必要な動きの体験をしないまま生まれてくるとの事です。

お母さんも赤ちゃんも姿勢は本当に大切ですね。

姿勢と乳首のくわえさせ方

意外に授乳は、難しい!

赤ちゃんが乳首に浅く吸い付き、乳首だけを加えて吸っている状態を「浅のみ」と言います。

浅のみになる理由として

  • 赤ちゃんの口が小さい
  • 乳頭の形が扁平
  • 母乳の量が多く、乳房が張って赤ちゃんが乳首を加えにくい
  • その他に「保護者の姿勢や抱き方」

などがあります。

最近では、テレビやスマホを見ながらの授乳で浅のみになってしまうことも増えているようです。コミュニケーション能力の発達に関わる大切な時間でもあるので授乳時赤ちゃんの顔をみながら、ちゃんと飲めているか確認しましょう。

浅のみはお母さんにも負担をかけます。

浅のみだと、母乳を飲む量が少なくなるので赤ちゃんは必死に乳汁を出そうと乳頭を強く吸ったり噛んだりして乳頭を傷つけてしまい、痛みが伴うこともあります。乳首を深くくわえ、どうしたら上手に飲めるかは、赤ちゃんにとっても保護者にとっても学習しないと身につかないものだということです。

大事

現代は、便利にYouTubeなどで【乳首のくわえさせ方】【くわえさせ方】をみることができます。
また産科で助産師に赤ちゃんやお母さんの状態を診てもらいプロのアドバイスを受けるのも大切だと思います。

そしてここを本当に大切にしていただきたいと今回感じました。授乳ぐらいと思わず一人で悩まず勇気を出してアドバイス受けたり学んで欲しい!と思います。

哺乳瓶の選び方

母乳育児を望まれても様々な理由で出来ない方も多くあります。その場合栄養補給の観点だけで選ぶのではなく拘りを持って選んで頂きたいです。

哺乳瓶も噛むを育て鍛える大事なアイテムです。

哺乳瓶選びのポイント

  • 乳輪部が大きい
  • 乳首をしごかないとミルクが出てこないぐらいのかたさ。
    哺乳瓶は、ミルクを入れて逆さにしてだらだら垂れるものは、良くない。各社からいろんな形のものが出ていますが、噛む子を育むことを考慮したおすすめ哺乳瓶がないのが現状です。

哺乳の3原則

  • 吸着・・・パクっとくわえる
  • 吸啜・・・舌の動きで母乳をしごきだす
  • 嚥下・・・ごっくんと飲み込む
    ※哺乳運動は、原始反射によって口唇、顎、舌、咽頭が一体となって動いている

授乳を終了する時

食べる口へのステップアップ

乳歯列の奥から二番目の歯第一乳臼歯という歯が生える(萌出)頃がタイミングです。

「噛む子を育む」ためには、第一乳臼歯が生えるまでに授乳の終了を目指すことをおすすめします。

授乳のリズムが整うと、離乳食が順調に進む傾向にあります。

離乳食が進むにつれて、授乳の回数が減っていくことが望ましいです。これは、「おっぱいを飲むお口」から、「食べるお口」へと発達させることにつながると同時に食生活のリズムを作るためです。

母親がどのように授乳から離乳食へとシフトしたらよいか?わからないと悩まれる方が多いと思います。

食べるお口を作っていくためには、母親が授乳終了の時期を決めることも一つです。その時には、お子様の歯の生え具合や体の体幹の様子を観察しながらかもしれませんがそのように私は学びながら感じています。

離乳食後の授乳をしないようにし、授乳回数を減らしていくと、授乳を終了しやすくなります。だんだん、適切な硬さと大きさのものを噛むことが出来るお口になるためには授乳のフェードアウトが必要です。

授乳のフェードアウトが必要な理由

歯科からの視点

将来、歯並びが悪くなる可能性がある。
むし歯のリスクが高くなる。

食育の視点

「飲む口」から「食べる口」を育てる時期を逸しないように。

授乳をどう終了させるかは各ご家庭様々なお考えがあります。産科や助産師、小児科の医師や子育ての専門家のアドバイスを聞きながらの選択が良いと思います。

まとめ

診療室で「子供が欲しがる間は、母乳を与えます」ときっぱり宣言されるお母さんもいらっしゃいますが、それも間違いではありません。子育ての考え方、方法は保護者の全て選択次第です。

私が教わり、お伝えしている事は、あくまで歯科の「噛む子を育む」食育実践予防歯科®メソッドの一つの考え方です。

授乳は心身の成長のためにお子さんにとってもお母さんにとっても大切なものですがお子さんの成長段階によっては、優先すべきものと捨てるものが私はあるように思います。

授乳は親子のコミュニケーションとして大事なことですが、授乳以外のコミュニケーションもあることを忘れてはいけません。お子さんの成長とともにそのコミュニケーションの方法や幅は広がります。

私自身、育児をする前にこの理論を知っていたら、体も心もどんなに楽だったかと感じています。

大切なお子さんを健康に育てるためには、正しい知識を学ぶ機会も大切だなと今、改めて感じています。そして多くの失敗をしてきた私だからこそ、母親の気持ちに寄り添い、ご一緒に考えることが出来ます。

今年一年、「噛む子を育む離乳食」を学ぶことで授乳や離乳食で悩まれる母親に的確にお悩みを受け取りその親子の今、必要なアドバイスをお渡しできるように成長したいです。

すぐにお伝え出来ないことも多々あると思います。その場合は教えを受けている先生に教えて頂きながらお答えしていきたいと考えています。

野上歯科医院 hahahaサロンさくらんぼ🍒ロイヤルむし歯予防マイスター®野上恵子