「噛む」を育む捕食(おやつ)に対する質問をまとめます

カラフルなマシュマロの写真

こんにちは。

2月23日は天皇誕生日で祝日でしたね。早朝から愛犬のモナの散歩で多摩川の土手を歩きました。キャノン本社の裏にはピンクの河津桜が鮮やかな花をつけていました。拳や桜の蕾も少しずつ膨らみ、交番の前の植え込みの菜の花は黄色いお花を咲かせていました。モナは、それらの植物一つ一つに鼻をくっつけてご挨拶。幼いモナは何でも興味深々。折れたサクラの枝を大事に家までくわえて帰ったり、風に揺れる花を見ながら首を傾げたり、羽を休めている鳩さんにもご挨拶。幼い我が子たちの手を引いて歩いた日々をまた取り戻したような毎日です。

今月は、今年学んできた、「噛む」を育む捕食(おやつ)の、惠子ママの立場でいくつか質問にお答えした事例をご紹介します。

「噛む」を育む捕食(おやつ)質問集

【事例①生後5ヵ月、男の子の育休中のママより】

離乳食が始まりました。おやつにバナナをあげたいのですが果物ならよいですか?

この時期は、離乳食を始めたばかりで一さじの重湯を丁寧に進めたい時期です。果物をあげる時期としては早いです。果物なので大丈夫と早い時期から与えるご家庭が多いですが、もう少し月齢が進んだとしても味覚を育む視点からもバナナは糖分が高いので扱いには気をつけてほしいです。また、バナナは、安価で手で皮をむけば手軽に食べられますが、3回の離乳食が安定して食べられるようになるまで実はおやつは必要ありません。

【事例②共働きご夫婦、生後8ヵ月の女の子のママより】

仕事や用事があるときに実家、主人の両親に子供を預けることがあります。両家ともに赤ちゃんせんべいや卵ボーロを与えます。私は、あげていませんでしたし、あげてほしくありません。どう伝えていいか悩みます。

よくある事例です。私も経験しました。意外に深い意味もなくご両親達はかわいさからこれらをあげる方が多いです。両家の親御さんにむし歯予防としっかり食事を食べれる子に育てたくて予防歯科に通い指導を受けている事、同じ考えで対応していただきたいことを伝えてみてください。かわいがることはおやつをあげる事だけではありません。遊んであげたり抱っこしたり絵本を読んであげたり愛情の伝え方は色々あるように思います。勇気を出して話してみるときっと理解され協力してくださると思います。

【事例③共働きご夫婦、学童に行っている小1のママより】

学童に行っているのですが、そこで甘いおやつが出ます。今まであまりお菓子を食べなかったのに家でも甘いお菓子を食べたがります。どうしたらよいですか?

今までお菓子を欲しがらなかったお子様でもこの時期になるとお菓子の味を知ってしまいます。お母さまとの世界から外の世界とつながってしまいました。欲しがるのは当然です。お子様とおやつについてのお約束を作っては如何でしょうか?例えば、甘いお菓子は一日に一回にする。おやつを食べたらうがいをする。おやつの量を決めご飯に触らないようにする。全部だめではなくお子様と一緒に約束の内容を決める。

そしてお仕事帰りのお母さまは夕方に帰宅され大変お忙しいと思いますが、帰宅後、ほんの少しの時間でも夕食のお手伝いをしてもらいながらなどお子様のお話に耳を傾けてあげてください。何よりそれが大切です。子供たちはそれをもとめています。心が満たされたお子様は、お菓子を必要以上には欲しがらなくなるように思います。

【事例④小2の育休中のママより】

最近、長女が自分のおやつを食べた後もママが食べているおやつを欲しがります。おやつを食べると夕飯が食べられなくなりますので困ってしまいます。どうしたらよいですか?

下に兄弟が生まれるとありがちな赤ちゃん返りも考えられます。まだ2年生。下のお子様にも手がかかり大変でしょうが意識しておねえちゃんに声掛けをしてあげてください。ママに注目されたい!独り占めにしたいという欲求が、兄弟が生まれた時に上のお子様に強く出るようです。弟や妹がかわいくいとおしい存在ではありますが一方ではこんな寂しさがあるようですね。ママとの時間や気持ちの上での共有が沢山欲しいというサインかもしれません。弟のお世話を手伝ってもらったり、一緒に本を読んであげたり一緒の時間を沢山作り心のタンクをいっぱいにしてあげる事が必要かなと思いました。また、お母さんのおやつはひとみちゃんが学校に行っている間で如何でしょうか?この年齢ではなかなか理解が難しいように思いました。

【事例⑤共働きご夫婦、中学1年のママより】

息子が中学生になりサッカー部に入りました。楽しく部活動やっていてよいのですがサッカーのコーチからスポーツ飲料を持参するので、毎日学校に持っていき一日500ml~1リットル飲んでいます。むし歯が心配ですが、部活の事に口を出すと怒るのでなにも言えず困ってしまいます。

500mlのスポーツ飲料には角砂糖で例えると8個入っています。1リットルですとその倍を摂取することになります。その上炭酸が入っているため酸で歯を溶かし、むし歯が多発するケースが多いです。スポーツ飲料は沢山の汗をかいたり激しい運動の後に推奨されがちですが、部活動ぐらいであればお茶やお水で十分です。WHOで推奨される一日の砂糖の摂取量は25グラムです。ペットボトル一本で超えてしまいます。最近の研究では、日常的に飲んでいると糖尿病やペットボトル症候群、脚気や心への影響、味覚への影響もあることがわかってきました。水筒の中身は見えないので水やお茶をいれて行けばよいのではないでしょうか?

【事例⑥共働きのご夫婦、中学3年のママより】

今年高校受験で毎日遅くまで勉強しているようですが、その時にカップラーメンやパンなど毎日遅い時間に食べているようです。その後、歯も磨かず寝てしまい毎日ろくに顔も洗わず困っています。

本当にお腹がすいているのか?気分転換をしたい気持ちで夜食を食べているのかもしれませんが深夜に食べると胃が活動し、睡眠の質が下がり、寝不足は脳も動かなくなり体への影響も良くないと言われています。そして夜食が本当に受験勉強に必要か?を聞いてみることも必要かもしれません。人はとかく意味もなくみんなが行っているからやっている行動が沢山あります。何のためにそうしているのか?常にそう問いかけながら行動する事が大切だと思います。この事例に関しては、眠気防止や気分転換にはキシリトールガムが有効です。そして顔を洗わないは一時的なことだと思いますよ。大きな気持ちで待ちましょう。きっと暫くしたら顔も洗うようになりますよ。

まとめ

いくつか事例をご紹介しましたが、むし歯は生活習慣病ですから、単に甘いものを食べ過ぎる、歯磨きが上手にできないという単純な理由でなく、生活の中に原因が潜んでいますので、生活全般を見直すことが大事です。

今年度、一年食育「歯科としてのおやつ」を学び、一番大事だと感じたことは、自分を大切に思う心・健康観を育んでいくことそしてお約束の大切さでした。子育ての中で、人育ての中で一番大切な事がここにあります。お口の機能の成長とともに心の成長、ご家庭の背景を考慮したアドバイスを意識していきます。これからも子育てに寄り添う野上歯科医院であり恵子ママでありたいです。

来年度は、「噛むを育む離乳食」をもう一度学び、ブログでアウトプットし、診療室の現場でもご相談にお答えしていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。