噛む子を育む離乳食【味覚】

和食出汁の写真

ご挨拶

昨年度から学んできた離乳食の学びからのアウトプットも最終回となります。

今朝は気持ちの良い朝を迎えました。

久しぶりに愛犬モナを連れて多摩川の土手を一時間ばかりゆっくり歩いてみました。
土手の脇の草の中にはつくしの坊やが沢山顔を出していました。
そして柳の木には新緑の葉が伸び春風に吹かれてゆらゆらしていて、キャノン本社横から続く桜並木の枝の先には、一年で一番土手が綺麗な季節を迎えます。

入学、入園、に迎え準備に大忙しのご家庭もあるかと思いますが新たな門出に向けて体調管理も大切になさってください。

味覚について

今回のテーマは「噛む子を育む離乳食⑨【味覚】」です。

味覚は育むもの。離乳食が始まると赤ちゃんは色々な初めての味を体験します。
味覚は、「噛む」ことと同様に自然に獲得できることではないため幼いころから育んでいかなければいけません。

味覚には「基本味」と言われる甘味、塩味、苦味、酸味、うま味の5味があります。これらは本来備わっている先天的な物であり授乳や離乳食でその感覚をさらに研いでいくものです。

大人になって感じる「おふくろの味」は、小さいころから慣れ親しんだ味であり安心感を与えます。家族と楽しく食べた記憶の中にある食べ物や、体調が悪い時に食べて好転した食べ物などは好きになり、逆に食べたことで不調をきたすと不快な記憶になり、その食べ物を嫌いになる事もあります。

味覚の形成には、脳の仕組みが深く関係しています。
人間の脳には、古い脳と新しい脳の2つがあり、「古い脳」は呼吸や睡眠などの動物的で本能的な部分を「新しい脳」は言葉などの理性的な部分をつかさどります。

そうすればその後の人生においても濃い味や人工的な味に違和感を覚えることが出来たり微妙な味の違いを認識できたりします。

このことからも私達親が3歳までに子育ての中で食事の内容、味付け、食事の中での会話の内容、マナーなど大切な事が沢山ありますね。

噛む子を育む3つのポイント

  • 食事中に水は出さない
  • 味付けは薄味に
  • 多くの体験と楽しい記憶を重ねる

🍒「美味しい」と感じる時、脳は味だけでなくその食べ物の匂い、色合い、舌触り、手触り、食べたときの音などを感じています。それ以外にも食事の環境,各家庭の食事の食習慣、心身の状態も味覚に関係します。

「食事中に水を出さない」ということは非常に重要です。
その理由は食べ物を水で流し込んでしまうと、口の中であじも香りも感じることが出来ないので本来の味を知ることが出来ません。また、噛むことも覚えられなくなってしまいます。

小食の子供に過剰な水は、お腹が水で膨らんでします。また、1歳くらいまでは念のため水道水は沸騰してあたえると安心です。

水がなくてもむせない工夫

水分が少ない食べ物は、唾液が十分出ない乳幼児期にむせることがあります。むせを防ぐにはこんな工夫をしてみましょう。

  • 魚も野菜もトロミをつける
  • 煮物に煮汁をかける

🍒どうしても水を欲しがるときは牛乳やジュースでなく、「水」や「お茶」にして与える量も少なめにしましょう。

味覚を育てる味付けのコツ

味付けは出汁メインの薄味で行いましょう!

偏食だからと言ってご飯にふりかけをかけたり、おかずにマヨネーズやケッチャプなどの調味料を沢山使ってしまう事には注意が必要。

幼いころから濃い味に慣れてしまうと素材の味を覚えないだけでなく薄味のものを食べなくなる。塩分も多くなるので内臓に負担がかかり将来生活習慣病にかかりやすくなります。

素材のおいしさを知るには昆布や鰹節、煮干しの和食の出汁を使い、調味料は少なめに、を意識します。

特に昆布のうま味成分である「グルタミン酸」は、羊水や母乳にも含まれているので赤ちゃんはこの味に慣れています。赤ちゃんにとっても安心できる味なので手掴み離乳食の初期では昆布だしを使います。

薄めるときは、「水」でなく「だし汁」で行います。
水で薄めるとおいしくなくなるので赤ちゃんは食べません。味付けが濃いなーと思ったときは出し汁で薄めましょう。

混合出汁レシピ

手掴み離乳食中期(詳細はこちらをご覧ください)、豆腐、しらすが食べられるようになったら行います。

分量
2リットル
昆布5グラム
煮干し3尾
作り方 
  1. 昆布と煮干しと水を鍋に入れ1時間くらい置く
  2. 中火で煮る
  3. 沸騰直前に鰹節を入れグツグツ沸騰したら火をとめる
  4. かつおぶしが沈んだらこす。

まとめ

最近の子育て事情で感じるのは、産後一年ぐらいでママ達の職場復帰が早くなってきたこと。そこにはさまざまな事情があると思いますが、昔よりお母さんや家庭でしていた乳幼児期の子育てを保育園などにゆだねる時間が多くなったと思います。

保育園に預けるにしても尚更限られたお家時間の中でも、お母さまが特に3歳までの離乳食や食事作りの中で味覚を育てるポイントを是非知って頂き取り入れていただきたいです。
そして何より家庭での朝や夕飯での食事時間が楽しく美味しい時間であることをお祈りします。

忙しさの中でも各家庭のお母さんの味が子供さんの味覚を育て5感の豊かなお子様に育って欲しいです。

日本は豊かになり、なんでも簡単にお金で手に入る時代になりました。
お母さんの味は、各家庭の宝物。立派なお料理でなくていいと思うのです。お出しが利いた具沢山の味噌汁もそれにあたると思います。昔、千昌夫の歌でそんなのがありましたね。

「味覚」は、むし歯予防と強い関係があります。
3歳までに濃い味覚が形成されると生涯濃い味を好むようになるようになり、素材のおいしさを物足りなく感じ、甘い物が好きになるようです。むし歯予防の観点からも【味覚】を育てることはとても大切だということを私も学びました。

野上歯科医院 hahahaサロンさくらんぼ🍒ロイヤルむし歯予防マイスター®野上恵子