日本の歯科事情について
今回は日本の歯科事情についてお話したいと思います。
皆さんは日本の歯科医療は他国に比べて進んでいると思われますか?
それとも遅れているのでしょうか。
私の考えは非常に遅れていると思います。
何故なら一般の方が歯科医院に通うのにまず治療から始まるのが当たり前になっているからです。
これだけ歯科医院の数が増えて供給過剰になっているにもかかわらず、保険制度も大学での歯科教育も基本的には昔とほとんど変わってはいません。
そして驚いたことに歯科医療の機械や材料が進化して技術革新が進んでも、むし歯の数や治療の件数は減るどころかどんどん増えています。
今は昔と違って国民の間には健康志向が広がって平均寿命も大幅に長くなっているというのに歯科医療だけがいまだに治療中心のままなのです。
欧州の歯科先進国であるフィンランドやドイツでは予防中心の保険制度に変わっており、治療すると歯科医の収入が減るシステムになっています。
これは一体どういうことなのか。
もちろんドイツやフィンランドの
歯科保健制度の改革がスムーズに運んだのは、国民への予防に対する啓蒙活動を十分に行ったからであり、長期的な戦略があっての事なのです。
それに比べて日本はどうしても国を変えていくのに長期的な展望に欠けています。
それは決して政治家だけの責任ではなく、私たち自身の問題でもあるのです。
私は保険医なので、もちろん治療もしますし、痛ければ痛みをなくすといった対症療法も行いますが、治療はあくまでやむ負えない手段であり一番重要な事ではありません。
私はあくまで歯科医の一番大切な仕事は予防であると思っているので、
診療室をフィンランドの歯科保健センターのように通っていただいている方を限りなくむし歯ゼロにしたいのです。
今私が所属しているプラズマレーザー研究会は私のこのような考え方に近い同志が多いので、いつも励まされています。
予防中心の診療室にポイックやストリークレーザーを使って再治療を減らしていく事の大切さをお分かりいただけたでしょうか。
野上歯科医院 野上 奨衛