ファミリーデンティストとしての心構え

今日は私の診療に対するポリシーについてお話したいと思います。

基本的に私はむし歯になっていない歯はもちろん、初期の虫歯に関しては治療をしません。
何故かというといつも歯科治療の限界を考えながら診療に臨んでいるからです。

開業してから36年も経つと長期に渡って自分の治療結果と対峙する事になります。
補綴を例にとってもコーヌステレスコープやリーゲルテレスコープやAIデンチャーそしてインプラント等色々な治療を行ってきましたが、コーヌスは勿論の事、リーゲルも神経を取った歯に関しては殆どがダメになっています。

インプラントも残っている歯が歯ぎしりなどが原因でインプラントになったケースではほぼ100%大丈夫ですが、歯周病由来のケースは骨吸収を起こし抜けてはいませんがリコールの度に心配しています。

インプラントはナイトガードの使用が必須でもあり、患者さんもストイックな方でないと何年も持たせることはできません。

我々歯科医は患者さんのかみ合わせを変えることに関して無頓着ではだめです。

一人の患者さんで理論道理に変えてうまくいったとしても別の患者さんではうまくいくとは限りません。

私もそういった経験を沢山してきて怖い目にも遭っています。
ただかみ合わせが極端に悪い方。
例えば奥歯しか噛んでいない方とか、下の前歯が普通に噛んだときに全く見えない程の深い嚙み合わせの方は矯正治療をしないと根本的には噛んでいる歯がすり減ってダメになるケースが多いのです。

矯正治療は私も20年取り組んでいますが大変難しいです。

骨格的に問題がある方は小児の内から手を付けないといけないのですが、治療期間が長期になりむし歯の問題や歯根にダメージが出たりすることもあって私の年齢的な問題も含めてお断りする事もあります。

それほどファミリーデンティストへの道は厳しいのです。

その他にも咬合を根本から変える最も難しい総義歯が健康保険内で経験の未熟な技工士によって流れ作業的に作られている事実等、日本の歯科事情には諸外国に比べて遅れた点が数々あります。

言いたいことは山ほどあるのですが今日はここまでにします。

冷たいものがしみるからといって安易に歯の神経を取ったりむし歯を放置して神経を取らざるを得ない状況にしないで下さい。
後々後悔する事になりますよ。

段階は人によって様々ですが予防に勝る手段はありません。
是非定期健診にいらして下さい。