小児歯科で大切にしていること:母子分離で築いた信頼と成長

笑顔の親子

ご挨拶

今年も残す事わずかとなりました。一年の終わりに向けて大掃除や年賀状書きに忙しい年末を迎えています。我が家も今日は年賀状書きを予定しています。

今回は、今年を振り返る意味でも診療室で実際にあったことを交え、小児の治療についてお伝えします。

極度歯科恐怖症のお子さんの変化

10月の私のブログで取り上げた8歳のTちゃんのその後をお伝えします。極度の歯科恐怖症、そして口腔内にいくつもむし歯があるTちゃんは月に2度土曜日に瑶子先生の歯科治療を受けに片道1時間電車に揺られて診察に来院します。

始めの頃は目も合わすことが出来ない、言葉もかすかにしか交わせない、診察台の前には心配そうにハンドバックを握りしめたお母さんが座っています。そんな状態からTちゃんの治療や関係がはじまりました。

2か月経った今のTちゃん、ハンドバックを握りしめたお母さん、現在どんな様子かお伝えします。

まず、待合室でお母さんとバイバイ❤ママはTちゃんを笑顔で診察室に送り出し待っている間は本を読んだり、携帯を操作したり自分時間を過ごしていらっしゃいます。

診察室に通されたTちゃんは、瑶子先生とスタッフさんの話を一人で聴き一人で治療をうけています。毎回、まだ、まだ不安そうな様子で診察台に上りますが最後まできちんと治療を受けることができるようになりました。

野上歯科医院が小児の治療で大切にしている事

  • 始めに治療の間のお約束を先生とする。
  • 痛かったらすぐに治療を止めるから安心して、お鼻でゆっくり息をする事(落ち着いた呼吸)の練習。
  • 痛い時は左手を挙げることを知らせる。合図があった時は必ず治療の手を止める。
  • 麻酔を見せないで痛くなく打つ。「虫さんを眠らすクリームを塗って眠らせてからお爪で虫さんにご挨拶するよ」と言って麻酔を打ちます。ほとんどの子は泣きません。こちらが痛くないのかな?と思いますが、みんながんばります。
  • 治療機材や麻酔の注射を見せない。
  • マイナス言葉を使わない。
  • 手早く的確な治療操作。(これはドクターもアシスタントや衛生士の動作や操作)
  • 十分な事前準備。
  • チームワーク。
  • 出来たら褒める。信頼関係を一つ一つ確実に摘み上げる。スモールステップを大切にする。
  • 嘘をつかない。
  • スピーディーで確実さ。
  • 急性症状や緊急性がない時や過去に怖い経験がある子は簡単なお掃除や歯医者さん体験で初日は終わる。先生と子供、スタッフと子供の信頼関係の構築をする。そこから少しずつ治療に入る。急がない。
  • そして、母子分離。

信頼関係と母子分離

最近のTちゃんは、⑭の母子分離がきちんとできた状態で出来るようになっています。

これは、お母さんが我が子を信じて先生やスタッフを信じて送り出し下さるようになっている事。保護者が我が子と医院側を信頼されてこそできる事です。ラポール(ラポールとはフランス語で「関係」「関連」という意味)の橋が出来たことだということです。

治療が終わったら、先生からお母さんにその日行った治療内容と次回の説明がありますが、Tちゃんの笑顔と体の力の抜けた感じ、そしてお母さんの安心された様子を見ながら私共も嬉しくなります。

目も合わせてくれなかったTちゃんは今では別人のように笑顔で通院されています。嬉しい限りです。

我が子を【信じる心】を歯科治療を通じて気付き実践された親御さんに深く感謝します❤これは歯科治療に限らず子育て全般において大切な事だと思います。

【母子分離での治療】は、引き離す事ではなく送り出す。それは、信頼と責任が土台になって成り立つことなんですね。

Tちゃんに限らずむし歯の治療に通われている親子の殆どが今は母子分離が出来ていますが、中にはどうしてもママが心配で中に入られるご家庭もありますが、その方々にもその時が訪れる事を大きな心で待ちながら関わっていきたいと思います。

予防の大切さをお伝えして約40年。
殆どがむし歯のないお子様を持つご家庭ですが、様々な事情でむし歯やお口の中の様々なお悩みをお持ちのご家庭にも確かな知識と治療法、そして愛を持って来年以降も地域医療に貢献していけるよう努力してまいります。

むし歯予防マイスター®

野上歯科医院 hahahaサロンさくらんぼ🍒ロイヤルむし歯予防マイスター®野上恵子