「はぐかむ®︎離乳食アドバイザープレセミナー」で学んだこと
ご挨拶
今年は例年よりも遅い梅雨入りでした。今日は、一日土砂降りとなり仕事に向かう家族の送り迎えに忙しい金曜日となりました。雨降りの日の運転中のラジオトークはうつむき加減な気持ちをアップさせてくれるから昔から好きですね。梅雨の季節とも上手に付き合っていきたいです。
今月は、先日受講した【はぐかむ®︎離乳食アドバイザープレセミナー】で学んだ内容を振り返りの意味も兼ねてご紹介します。
私の所属する食育実践予防歯科®︎はお口・こころ・からだの調和的な成長を促し「よく噛む子」を育むことを最も大切にしています。
以前の私は、噛む事は生まれ持って備わっているもので【育む】という感覚は持っていませんでした。
しかし人間の赤ちゃんは、長い時間をかけて深い愛情と手間暇かけてのお世話と正しい知識のもと育むことが沢山あります。
その一つが【噛む】です。
噛むことによって自浄作用の高いお口をお子さんに渡すことができます。
昨今予防歯科の重要性が伝えられるようになりましたがどんなブラッシングよりもいかなる予防処置よりも自浄作用の高いお口を育むことは大切です。
その【噛む】を育むための離乳食をスタートする時に使うファーストスプーンをどの時期からどのようなことを見極めながら使うかを学びました。
初めてこのメソッドに出会った頃とは、ファーストスプーンも随分進化しました。進化した(はぐかむ®︎離乳食スプーンメソッド)と離乳食前後の噛むお口を育むために私達保護者がどのようなことを学び育んでいく必要があるかをお伝えしていきます。
ファーストスプーンをオリジナル離乳食スプーンとして開発に取り組むために沢山のモニターを募集し完成するまで10年の歳月を要したと聞きました。
離乳食スプーン開発モニター・離乳食検証の中での気づき、コロナ禍でモニターの集客も苦戦のある中検証が続く。
≪気づき≫
- 離乳食スプーンは薄さが大事
- 離乳食スプーンを奥に入れ舌にのせてしまう
- 多くの食べ物をスプーンのボールですくう
1〜3のことを解決できるスプーンを作ろうと、この検証、改良、開発が始まりました。
離乳食スプーン開発モニター・離乳食検証の中での気づき
- 生後5~6ヶ月では座位安定の赤ちゃんはいなかった。座位が安定していないと舌の反射も強い
- 一般的な離乳食スタートは5~6ヶ月では難しい?
- 座位が出来てからとなると・・・それまで何もしなくていいの?
後で詳しく上記の疑問(?)についてどのようにそれらを捉えどう対応したのかをお答えします。
以前の私もそうですが世の中一般では、赤ちゃんの離乳食が上手くいかないと悩んでるお母さんが多くいらっしゃいます。
反対に我が子がまだお座りをして離乳食をスタートする体や全身の機能や情緒が育っていないのにそれにも気づかず5~6ヶ月になったから離乳食を無理に進めていっているご家庭が多いのかもしれません。
そして間違った親の離乳食スプーン介助がされているのがまだまだ現実です。
お口の中からなくなっていたら噛んでいる。また、まだまだ噛んで咀嚼していくことを育むことが健康な体を作りむし歯予防やきれいな歯並びを作り、自立したお子様を育てるなど深い意味があることが世の中に伝わっていません。
検証を重ねて誕生したはぐかむ®︎離乳食スプーン。
10年の年月をかけて開発されたこのスプーンの名前の由来は、はぐかむ®︎は、「育む」と「噛む」噛むは育むものそして抱き締めるように大切に温かく「ハグ」しながらが由来です。
はぐかむ®︎離乳食スプーンの特徴
- 口をとじる力の弱い赤ちゃんにも閉じやすいボールのうすさ
- 食べ物を山盛りに乗せらないボールの大きさ
- 柄がストレートでまっすぐ引きやすい
- 持つ位置がわかりやすいガイド付き
- 北海道置戸町(国産)の天然木使用
- 一本ずつ職人が丁寧に作製(アトリエ もくれん)
食育実践予防歯科®︎メソッドの離乳食スプーンの目的
- 口を閉じる
- 一般的に厚労省や育児書にかかれている月齢では進めない
※「噛む子を育む」スタートは、口を閉じること
5~6ヶ月になったから離乳食を始めるのではありません。
近年のお子様の多くがまだ体幹がしっかり調わず犬座りが出来てない溜め嚥下がまだできないお子様にはどのように関わったらよいか?を教えて頂きました。
~食べる前から始まっている!~
「食べる」につながる赤ちゃんの土台作りを学ぶ。
シェルハブ・メソッド 公認指導者 田中 大祐先生に教えて頂きました。
知って欲しいこと
その1.離乳食の開始のサインがあるという事
その2.ヒトは、食べることを学ぶため「実際には食べ始めるより前」から沢山の準備できることがある
食べ始めるために必要な体の力①
赤ちゃんが食べることを学んでいくために必要な要素は、大きく2つあります。
身体的な力
- 安定して座れるようになる事
- 末梢をつかうこと(目・上肢・手・顎・口・舌)
内面の力
食べることに興味を持つことが出来る。探索・思考錯誤を通じて学習が出来る
食べるために必要な体の力②
安定と動きの関係性。
付け根がしっかりと安定していないと動けない。クレーン車に例えて習いました。クレーン車も土台が固定(安定)されているから必要なものをつかめる!
そう考えたらお座りが出来ることは食べるためにはとても大事です。
食べるために必要な体の力③
頭部―頸椎―骨盤―下肢で
- 支持性重さを支える
- 動的安定性のバランスの獲得
重力に対してこれらすべてが獲得されている状態が「座位の自立」となる。そのため効率的に顎や上肢の活動を学習させるためには座位の安定が欠かせない
食べ始めるために必要な体の力④
定頸を考える(首が座ること)。
咀嚼と嚥下に、頭部・頸部・顎の筋肉による動きが関与していることは知られている。それでは、新生児から乳幼児の発達の過程で、土台となる定頸について考えます。
食べ始めるため必要なに体の力⑤
バランスをとる力の基礎。バランスをとるための情報の多くは、首と頭にある。
- 視覚、目の動き
- 前庭系 三半規管→重力と頭の位置関係
- 固有感覚 首の筋肉の緊張の変化
※これらの経験は定頸より1~2か月前にはすでに始まっている。
目や頭を床の上で動かす活動は、すでに赤ちゃんの定頸のための経験と情報を与えます。体の側面を使って動けるようになっている。寝ながら手が届くぶら下がりおもちゃで遊ばすことは経験と情報を与えているということになります。
食べ始めるために必要な力⑥
定頸が得られることは、水平を捉える事。
お座りは、おおむね6ヶ月ぐらい以降からするようになります。
全身的な活動は、伸筋が優位になる。「行きたい」の気持ちの成長に伴い左右の分化が進めばピポットずり這いといった動きに発展していく。つまりそるのも大切な力の一つ!
- ハイハイ
- ずり這い
- ピポットなど
床遊びや運動寝返りを大切にします。大人が無理に座らせない!慌てない!ことが大事です。
この時期は、動きのバリエーションの変化が多彩で、力の大きさ、タイミング、方向づけまで考えると一人として同じ動きを取らない!みんな違うことを前提に捉えましょう。
★自ら座ることにたどり着くためのロードマップ
- 自らお腹を持ち上げる事が出来る。
- 背中の屈伸と。股関節の屈曲を分化できる。
- 後ろに向かって動く事に気が付く。
「座らせば座る」と「自分で座る」
この2つは、全く違うプロセスも違えば、得られる機能も違います。
本当に必要なのは「自分で座れることです」。これは、今日ここまで学んだ沢山の発達のプロセスの結果でここまでの経験や試行錯誤に一般の人が「体幹」呼ぶ体の安定の機能の育ちが4隠されています。
口や手、認識面などの発達と環境。
特徴的な月齢における機能の成長と遊びについて学びました。
先生は、その中食べるということは、体と切り離せない一体のものである。口の機能を育てることは、全身の動きを育てる事。
ここまでは、首が座る事(定頸)や座位の獲得等実際に食べ始める前に始まっているからだを安定させる機能について解説していました。
ここからは、体の土台の上で行われている目・口・手の活動や認知的な力の発達、その時に役立つおもちゃなどをこの後に紹介します。
新生児期特徴と役立つおもちゃ
新生自己感
この時期はほぼ一日の殆どを寝て過ごす中でもたくさんの感覚を取り込む時期です。
授乳によりお口の動きが発展します。乳首のくわえさせ方(ラッチオン)の方法が重要になると考えられ、舌は、反射~随意と徐々に動きを変えていくが、頬の筋肉を収縮させて口腔内を陰圧にしていく働きはここで学ぶと思われます。
新生児期の手は、基本反射の影響を受けているためグーを握っていることが多いです。親指は、手掌から開く経験を積み重ねることが大事です。
この時期のおもちゃ
- メリー・モービルなどの吊り下げおもちゃ:見る活動が重要です、出来れば手が伸ばせる高さのものがおすすめ。
- 音のするガラガラ・ラトル
握りが細めの棒状で親指を開いて四指屈曲のまま握れるもの。生後2ヶ月手前から手や腕への認知・親指の分化感覚をえるためおもちゃを持って動く事で自ら刺激をつくります。
新生児は一か月あたりからすでにヒトの顔に気が付いて注目しょうとする力を持っています。お母さんや家族が顔を近づけて話しかけてあげる事も良い遊びになります。
うつぶせ寝遊びは大切ですが、ゆっくりと横向きを経由して赤ちゃんが怖くないように進める事が大切です。
この時期から、いないいないバーの遊びがおすすめ!
おおむね3~4ヶ月の特徴と役立つおもちゃ
この時期になると、赤ちゃんは両手を顔の前で合わせるようになり、自分の手に気がつき指しゃぶりが始まります。親指を開く動きや四指の屈曲も見られます。
この時期のおもちゃ
- 両手で持つ事が出来るもの(オーボール)
- リング上で指にかかるもの(このリングの部分を舌で嘗め回したりもします)
おおむね4~6ヶ月の特徴と役立つおもちゃ
この時期には中核自己感が芽生え、感情の分化が始まります。赤ちゃんは積極的に動き出し、好奇心が旺盛になります。
赤ちゃんが積極的に動き出すことが明らかにわかる時期です。「自己感」の芽生えが明確になると抱っこやおむつ交換で「留められる事」を嫌がりはじめます。
好奇心の広がりに合わせて「何でも」口の中に入れようと」します。(能動的探索)指もその対象で、全ての指をなめしゃぶります。指の間が開くので一本ずつなめる事も出来るようになります。
この時期のおもちゃ
- 3ヶ月同様に、オーボールなど指にかかりやすい物、口に入るおもちゃ
- 平べったいおもちゃ(4本指をすべて口に入れる赤ちゃんにお勧め)
6ヶ月以降の特徴
この時期には自他の分化が進み、他者への気づきが見られます。共同注視や模倣、移動の獲得により、赤ちゃんの世界が広がります。人見知りが始まることもあります。つかまり立ちやテーブルなどでの立位が見られ、手の発達には体幹や肩甲帯の支持性の向上が欠かせません。うつぶせ寝やズリバイ、四つ這いなどの運動が手の機能を助けます。
- 自他の分化=他者への気づき
- 2つの違いに気がつく
- 共同注視・3項関係
- 模倣(自己→対象ある)
- 移動の獲得
- 世界の拡大(場所、もの、人におこる)
※上腕の回内、手掌内の分化もここで経験され、この時期パーが出来るようになる
離乳食中期頃の特徴とおもちゃ
手の機能が大きく成長し、物との関わり方が充実していきます。探索活動が口から手へと移行し、熊手の握りができるようになります。多様な物をつかめるようになり、両手で物を持ち、ぶつけたり離したりする遊びも始まります。
「離す動き」の出現により、手の活動が広がり色々なおもちゃが必要になります。
この時期のおもちゃ
おすすめは・・・
にぎったり離したり、両手で積み木を持ったり離したりの動きができるもの。
2つのおもちゃを両手の手で同時に持てるので、それをカチカチとぶつけたり、人におもちゃでたたいたり、握った食材や食具をお皿にくっつけてみたりなど。(定位活動の遊び)
5指握りの獲得で、多彩な物をつかめるようになります。
多様なおもちゃ:固さ、柔らかさ、重さ、質感など、さまざまな触感を経験することが大切です。たった一つの良いおもちゃよりも、多様性が重要です。
赤ちゃんは他人の顔に興味を持ち、目や鼻、口を触ろうとします。お母さんの顔は、赤ちゃんにとって最高の遊び道具です。顔を触れさせたり、動きを見せてあげたりすることで、赤ちゃんの興味を引き出しましょう。
まとめ
食べる経験・機能の学習は、「体を安定させる」「上肢と手を操作する」「こころが動き興味を持つ」
これら全体が統合されて、やっと学習へチャレンジしていけるとても高度な活動です。そして、今までが土台で・・・ここからが食べる事(離乳食)をスタートするという認識が重要です!
という学びをしました。
赤ちゃんが離乳食を始めるまでになんと様々な成長が必要なんでしょうか?
改めて今回の学びから生まれてすぐの授乳から人間の子供は体から手や足、頭や目や口、情緒の発達を経て経験を重ねてやっと食べる練習=離乳食のスタート時期にたどり着きます。
正しい知識を周りの大人が持ち、慌てず一人一人の発達が違うことを大切にして寄り添い育むことなんですね。深い内容でした。
私自身自分の子育ての時は殆ど知らないことが多い状態で子育てをしていました。知らないということは怖いことですね。こうした自身の経験からも未来ある子供たちに学んだ事を伝える事の使命を強く感じております。
野上歯科医院の院長が長年かけてむし歯や歯周病の予防の大切さを伝え予防中心の診療室を作ってきました。
近年では体に優しいポイックケアーや、なるべく削らない治療やなるべく抜かない事も大切にしていますがそのことを海に例えれば、私が学び伝えようとしている食育実践予防歯科のメソッドは森であると思います。
子育て中のご家庭にこの素晴らしいメソッドの考え方と方法をお伝えしていくことも野上歯科の予防のファーストステップとして位置づけていきたいと思います。
次回8月のブログでは、はぐかむスプーンの介助法を具体的にお伝えしていきます。
野上歯科医院 hahahaサロンさくらんぼ🍒ロイヤルむし歯予防マイスター®野上恵子