ジャスティス
昨日はNHK教育テレビで夜の6時から放送された
ハーバード大学の講義ジャスティスを観ました。
マイケル サンデル教授が学生達を相手に社会正義とは何かを
問いかける番組です。
この番組を深く理解するには近代思想の哲学的な基礎知識がないと無理です。
又アメリカのビジネスエリート達が何故マネー資本主義へと進んだのかも
理解する事ができます。
アメリカが今日の繁栄を勝ち取ったのはその独立独歩の精神であり、その精神の元になった
のがイギリスのジョンロックに代表されるリバタリアン的な考え方です。
ロックの思想とはつまり解りやすく言うと個人の自由と権利は一国の自由と権利より大切な
ものであるという事です。
日本人とは違って建国当時からアメリカを支配してきたアングロサクソンはきわめて論理的
に考えて行動する民族です。
また公共の利益よりも個人の権利が優先されたからこそアメリカはここまで
短期間で繁栄したのだという考えが根強くあります。
だから国民総保険加入にはあれだけ反対意見が出るのです。
アメリカ人を理解するには母国であるイギリスの近代史や思想哲学を
勉強しないと不可能です。
番組を観ているうちにサンデル教授は今のままのアメリカを決して
よいとは思っていない事が解ります。果たして今まではロックの考え方でやれたが
これからはどうなのだろうか?と学生達に疑問を投げかけています。
またもし仮に方向転換するにしても多少の反論にはビクともしない
論理を学生達に身に着けて欲しいと願っている事がよく解りました。
大学生に教える事は将来どういった考え方で人生に向かうのか
の基本姿勢を教える事であり、成功のテクニックを教えるところではない
という事が理解できました。
何百人もの学生を相手にローマ帝国の元老院のように議論を戦わせる
のには大変な準備と勉強が必要だと思われますが、アメリカの将来
を背負う人間を育てるためには教授にもそれなりの人物が
必要であるという事でしょうか。
他にもシェークスピアとシンプソンズはどちらが高級なのかを
論理的に証明しなさい等の難問もあって、学生はいやでも
自分の頭を使って他者を説得するにはどうしたらよいのか
を自然に学んでいきます。
又来週も観たいと思います。
テレビもこのような良質の番組が増えると役割が全く違ったものになって
行くでしょう。