13人の刺客
少し前ですが、去年キネマ旬報の邦画部門のベスト10に入っていた
「13人の刺客」と「キャタピラー」をWOWWOWで見ました。
13人の刺客はまさに血沸き肉踊る痛快な娯楽時代劇でした。
稲垣吾郎演じる将軍の弟の異常さも秀逸で、正義感あふれる役所宏治との
対比も見事です。まさに悪役が目立てばより主人公のりりしさが引き立つという典型例です。
ただ13人対300人というのは少し無理があり、殺陣シーンにも中弛みが見られましたが
全体的にみると満足の高い作品に仕上がっていました。
キャタピラーはいわばタブーに挑戦した作品です。
両手両足を失っても人間の欲望は尽きません。
昔、「ジョニーは戦場に行った」というアメリカ映画でも両手両足を失い
言葉も失った帰還兵を題材にしていましたが、性欲や食欲や排泄の事までは
描いてはいませんでした。
あまりにもリアルな描写に目を背けたくもなりますが、戦争とは
かくも一人の人間の尊厳を奪ってしまうものなのか?
深く考えさせられる作品でした。
ラストの池に自らはまって死ぬシーンでは不思議とかわいそうだ
という気持ちにはなりませんでした。
きっともう楽になりたかったのだと思います。
見事な演出でした。