金子兜太氏について

昨日、夜8時頃たまたまNHKのハイビジョンを

つけてみたところ俳人の金子兜太氏が出演していました。

私は俳句をやっている訳ではありませんが、

郷里にいる母親が若い時から携わっていたせいで

多少の興味はありました。

最近金子氏はたびたびマスコミに登場し、一度どういう人物

なのか知りたいと思っていました。

郷里が秩父だという事。

父親が医師であり俳句もやっていた事を知りました。

その話の中で氏が知性のある野生に子供の頃からあこがれていた事に

興味を引かれました。

なんでもない山仕事をしている連中の中に、非常に知性的な人がいる事に

氏は子供の頃から尊敬の念を抱いていました。

又太平洋戦争ではトラック島で悲惨な経験をした事も知りました。

印象的な言葉に、戦争はどこかの国の、特定の誰かが悪いのではなく、

人が簡単に死んでしまうという事態を起こす戦争そのものが悪いという

くだりがありました。

復員しても氏はその事を引きずり戦後、鬼畜米英から

アメリカ万歳といったふうに、180度変わっていく日本人の考え方に対して

冷ややかな目で俳句の創作をしていきます。

氏の心の中にいつも流れているのは自分は人としてこれでよいのか?

人間というものを見つめなおし、その感性を575の中に吹き込もう

とします。

たとえ、もがき苦しんでも自分は俳句を通して伝えるべきもの

は伝えるという執念のようなものを氏の言葉から感じとる

事ができました。

その後も、人間を詠む俳人としては、先輩に当たる、小林一茶を研究

したり、

本当の俳句を詠むには、地べたに暮らして、命を身近に感じなくては

ならないという、奥様の助言を受け入れた事など、

感動の連続であっという間に1時間半が過ぎてしまいました。

きっと金子氏のような人がもし身近にいたならば、私にも別の人生

があったかもしれません。

氏の俳句の特徴を一言でいうと、先に秩父での山男たちとのいきさつでも述べた

ように、人間の中にある本質を鋭く描き出すといったところでしょうか。

これから人生を決めていく若い人には是非、金子氏のような確かな

曲がらない、深い審理眼を持ってもらいたいと思います。

同じ日本人として、氏の存在を非常に誇らしく思いました。

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