先日、私の大切な患者様がお亡くなりになりました。
いつもニコニコされて、身だしなみにも気を使われる
素敵な方でした。
私にとって、思い出深いのは、人柄もさることながら、我慢
強く私を信じて、陰から励まして頂いた事です。
私はこの方からどれだけの勇気と知恵を頂いたかわかりません。
初めて治療にいらしたのは、阿部晴彦先生のセミナーに通っていた
頃でした。
その頃の私は総義歯の治療で悩んでいました。
どうしても下顎の義歯の吸着がうまくいかない事が多く
それが何故なのか？今のようにはわかっていませんでした。
それが、その患者様を治療していくうちに、吸着するか否かは
咬合がうまく再現されているか？否かにかかっている事に気付きました。
決してその患者様は私に難しい注文を出された訳ではありません。
しかし、治療義歯の段階から噛み合せについて、細かい貴重なアドバイス
を頂きました。
今になって思えば、あの時に総義歯のセミナーに行っていなければ、
またあの患者様にめぐりあっていなければ、私は自信のないまま、
不完全な総義歯を作り続けていたかもしれません。
勿論誤解をしないで頂きたいのは、今でもパーフェクトな義歯が作れている
訳ではありません。
ただ、昔に比べて少しは上手にはなったかな？と思う程度です。
しかし、患者様との一期一会を通じて、生きがいを頂いた事は
まぎれのない事実です。
心からご冥福をお祈りしたいと思います。