加藤周一氏について

先日、上京してきた母親が加藤周一氏のエッセーを読んでいました。

昔から母親はリベラルな思想の持ち主が好きで、例えば志賀直哉とか

井上靖の小説を私はよく目にしたものでした。

主婦としての仕事である掃除や洗濯はあまり好きではありませんでしたが

文学や俳句の知識は主婦のレベルをはるかに超えていました。

では何故私に文学や俳句をもっと教えなかったかというと

それは父親との価値観の違いでした。

父親は男に文学は必要ないという考え方の人でしたから

母親とは根本的に価値観がズレていたために、夫婦の間では

議論にもなりませんでした。

勿論、父親には別の優れた所があり、新しい薬を作る時の勘の鋭さや

執念等職人気質の塊のようなところもありました。

また、とても社交的な一面もあって私が小さい頃はいつもお客が絶えなかった

記憶があります。

母親は逆に1人の友人を大切にして長く付き合うタイプでした。

子供の頃から何故二人が夫婦になったのか不思議に思う事もありました。

今の世代なら価値観の相違で直ぐに離婚になっていたかもしれません。

しかし昔の人は我慢強いし、必ずしも自分の価値観を相手に押し付ける

事もせずに、上手に生活と共存させていました。

話は随分と飛びましたが、母親から「加藤周一を知らないとは

余り新聞を読んでいないし、日本のリベラルな思想をよく知らないな。」

と言われさすがにカチンときました。

負けず嫌いが頭をもたげ、加藤周一氏の事を徹底的に調べました。

医者であった事。海外にも住み、サルトルやボーボワールとも親交

があったこと。

今度是非加藤氏の著作を読んで見たいと思います。

私の歳になると、自分は何がしたいのか?

どういう事が好きで何が嫌いか段々煮詰まってきます。

私は若い時にもっと色々な本を読むべきだったと後悔しています。

本を沢山読む事によって物事の真実の姿を見つけ出す努力をしていきたい

と思います。

今からでも本気になれば決して遅すぎる事はないと思います。

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