こころに残るもの

漱石にはまってからたて続けに
 こころ それから 三四郎 を読みました
その中でも一番印象に残っているのは こころです
親友と同じ一人の女性を愛してしまう
友人にそのことを告白された先生は嫉妬に刈られて友の告白を裏切り
女性の母親を説得するという汚い手段を駆使して
女性を妻にすることに成功する
だが待ち受けていたものは裏切られた友の自殺という過酷な現実だった
自殺の真相は誰にもしゃべらず遺書も残さずに
自分を責める様なことが一切なかったことがかえって本人を苦しめることになるとは
先生は女性との結婚生活を手に入れる事はできたが一生償っても償いきれないほどの
罪悪感にさいなまれる
まるでロシアのドフトエフスキーような重たいテーマである
それを漱石はある時は軽妙に重たくなり過ぎないように描いている
友情と恋愛と生き様が見事に凝縮された こころ は漱石の最高傑作だと思う
ただ肝心の女性の本心が良くわからない
これは三四郎の美禰子も同じで
漱石は女性の本性を描くのが下手であると言われる所以なのかもしれない
でも私は こころ の奥さんの描き方は別にしても美禰子はあの方が
かえって女性の神秘性を描いていて良いと思う
美禰子がハンサムなで高学歴の男を結婚相手に選ぶところも
リアリティーがあってよいと思う
明治という時代にあのようなおしゃれな人たちがいたとは
エリートがエリートでありエリートらしく振舞えた時代が明治だったのである

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